溶剤系塗料・水性塗料・自然塗料の特徴と長所・短所、上手な使い分けの方法とは

DIYショップで、よく溶剤系塗料と水性塗料って聞きますよね。しかし、その違いについて皆さんははっきりとご存知でしょうか。今回は、塗料を使う上で知っておきたい溶剤系塗料・水性塗料・自然塗料について、長所や短所を踏まえてお送りしたいと思います。

 

塗料の分類方法

金属やプラスチック、コンクリートにガラス、塗装された製品を日常生活で見ない日はないといっても過言ではないでしょう。塗料はそうした用途や塗装のやり方によっても分類が変化します。
今回はその中でも、塗料の溶媒(溶かすものを意味し溶剤とも呼ばれる。例:食塩水における水)の種類に着目して分類してみましょう。

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▲溶剤系塗料・水性塗料・自然塗料の特徴と長所・短所 一覧

溶剤系塗料とは?

溶剤系塗料とは、主成分の有機溶剤に樹脂や添加剤を溶かした塗料です。油性塗料と呼ばれることもあります。溶剤系塗料には、塗膜中の有機溶剤が揮発して、塗膜が硬化・乾燥するタイプや、空気中の酸素と塗料中の樹脂などの成分が化学反応を起こして塗膜を形成するパターン等、様々な種類が挙げられます。

大きな長所としては、有機溶剤が使用されているため水より揮発しやすく、乾燥時間が短い事が多いです。そして、金属などを含め基本的に塗装物を選ばないことは特筆すべき特徴です。また塗装を行う際に湿度や気温に左右されにくく、比較的気候を気にすることなく塗装できることも大きな魅力といえるでしょう。

短所としては、やはり環境汚染・健康被害への懸念が挙げられます。
溶剤系塗料は性質上、シックハウス症候群の原因の一つとして考えられている酢酸エチルなどの有機溶剤(VOC)が含まれています。人体に害があるとされるVOCは、近年公共施設等において使用が制限されている物質でもあります。
また、独特な臭いがあるので屋内で使用するには換気を十分に行う必要がありますし、換気をしても気分が悪くなってしまう場合もあります。塗料を薄めたり刷毛を洗浄するためにはシンナーを使用しなければならず、準備や後片付けに手間がかかるという点も難点でしょう。

溶剤系塗料を使用する際は、よく既定の使い方を確認したうえで塗装を行うようにしましょう。また、引火性があるので、必ず火の気のないところで使うようにしてくださいね。
管理する際も、必ず使用上の注意にのっとって保管するようにしてください。

水性塗料とは?

水性塗料は成分の主成分が水で出来ている塗料です。環境に配慮した原料や扱いやすさ等から、DIYで使用されることも多い塗料です。

長所としては、なんといってもその手軽さが挙げられます。
まず、水性塗料には、溶剤系塗料と違って臭いがほとんどありません。また、VOCを大幅に低減していることで、人と環境にやさしい塗料として多くの方に支持されてきました。
加えて、扱いが簡単で初心者の方でも使いやすいことも大きな魅力です。
塗料を薄めたり塗装に使用した道具の後片づけに水を使うことができますし、手についた場合も乾燥前であれば水で簡単に洗い流すことが可能です。

短所としては、溶剤系塗料と比較した際に気温や湿度によっては乾燥に時間がかかる場合があります。また、その性質上どうしても金属への塗装が難しい場合が多いです。
金属へ塗装すると錆びが広がってしまうこともあり、基本的に避けた方が無難といえるでしょう。

余談ですが、水性塗料を塗布後、塗膜が形成されると水に溶けることはありません。
よく誤解されるのですが、水性塗料はあくまでも樹脂と水が分散して混ざり合っているような状態であり、樹脂が水に溶けているわけではありません。
ですので、一度塗膜を形成した水性塗料は水に溶けることなくきちんと保護機能を発揮するのです。

写真3▲水性塗料が塗膜を形成するイメージ

また、これに関連してよく「水性塗料は溶剤系塗料よりも耐久性が低いの?」というご質問を頂くことがあるのですが、結論としては水性か溶剤系か、その性質だけで決めることは出来ません。
なぜか。それは、塗料の性質を決めるのは溶媒(溶かすもの)ではなく、むしろそこに混ざりあっている樹脂や添加剤だからです。溶剤系塗料は有機溶剤をベースにしているので、比較的簡単に多くの種類の樹脂を溶かすことが可能です。
しかし現在は技術の進歩も相まって、本来水に溶けない樹脂を分散できるようになり、塗料の水性化が可能になりました。つまり、樹脂が溶剤系塗料で使用されているものと遜色がなければ、溶剤系塗料と水性塗料に大きな違いは生まれないのです。

自然塗料とは?

自然塗料には様々な種類があるので一概に説明することは難しいのですが、おおまかには合成樹脂のような人工的な成分を用いず、植物油などの天然素材を原料にした塗料を指します。人や環境にやさしいというイメージが広く定着しているため、普段塗料にさほど触れない方でももしかしたらメーカー名をご存知の方も多いかもしれませんね。

ちなみに、弊社の塗料・mizucolorも自然塗料のひとつです。
富士のきれいな水と原料にこだわり、植物との出会いから生まれた、安心・安全な塗料で、木の風合いを生かし暮らしをナチュラルに彩ります。
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長所としては、亜麻仁油や蜜蝋など馴染みのある原料が使用されていることで成分への安心感があります。木目を活かし、しっとりしたナチュラルな質感に仕上がります。

短所としては、耐久性に劣ること、また油を使用した自然塗料の場合、塗料が付着した刷毛やウエスなどを放置していると自然に発火してしまう恐れがあるという点です。
取扱いには他の塗料と同様、十分に気を付けることが必要です。

用途によって上手に使い分けるのがより良いDIYの第一歩

さて、これら3つのタイプを踏まえたうえで、我々はどのように塗料を使い分けたらよいのでしょうか。大まかな区分ではありますが、DIYであれば屋内外問わず臭いが少なく取扱いが簡単で環境にも配慮した水性塗料がオススメです。
屋外でウッドデッキやベンチなどを塗装される場合、当社では屋外用水性塗料・ガードラック シリーズをラインナップしています。

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金属など特殊な塗装物への塗装を行いたい場合は、溶剤系塗料が得意な場合があります。
自然由来の成分にこだわりのある方や、しっとりした仕上がりを好む方は自然塗料の使用も選択肢として挙げられるでしょう。

上記はあくまでも大まかな指標です。もし状況が微細に違えば、その分様々な塗装が可能性として挙げられますので、すべてを上記にあてはめないようにお願いいたします。

よくインターネットで調べた際に、「水性塗料は乾燥が遅い」「溶剤系塗料は臭いがきつい」など画一的な結論が出てきますが、実は必ずしもそうではありません。
もちろん大まかに特徴を分けた際にそういった点が出てくることは確かですが、それがすべての塗料に当てはまるかといえば答えはノーです。
求められる性能や状況はその時々によってバラバラですし、また仕上がり感など人によっても好みが分かれる問題もあり、一概にこれが良いと言い切ることはできません。ですから、塗料ごとの違いや特徴、塗り方をWebサイトやパンフレット等を確認して選ぶことが重要なのです。

「こういった状況を防ぐためにこんな塗料を使いたいけれど、本当にこれでいいのかな?」と迷ったなら、その際はぜひ塗料メーカーに相談してみてください。
状況に即した塗料の選び方や塗装方法のアドバイスができますよ!私たちも皆様からの疑問・質問にお答えできることを楽しみにお待ちしております。

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