成分から紐解く木材用塗料の選び方=前編=

木材用塗料はどのような成分が使われているの?

木材用塗料に使われている成分は大まかに4つに分けられます。意外とシンプルですよね。

①着色剤 ②樹脂 ③溶剤 ④添加剤

②塗料写真 ▲色とりどりの塗料をご用意していますが、主な成分は4つです

①着色剤

顔料・染料などが使われますが、いずれも色の決め手になるものです。
着色剤が入っていない塗料は透明で、クリヤーと呼ばれます。
また、着色剤を加える事で耐光性が上がり、濃い色の方が耐光性が高い傾向があります。春~夏で日焼けを防ぐアイテムは黒色の物が多いのも同じ理由ですよ。
人間の肌も光(主に紫外線)によりダメージを受けますが、木も同じなのですね。

 

②樹脂

樹脂の役割は主に塗料が乾いた後、膜を造る成分です。
塗膜を造る事で木の表面に入る傷や紫外線での変色などを防ぐ役割があります。塗膜の種類により見た目も大きく変わってきます。
樹脂の種類としては石油系の合成樹脂や天然の樹脂があります。

【石油系合成樹脂】ウレタン樹脂・アクリル樹脂・シリコン樹脂などです。
石油系の合成樹脂で身近な家具に使われる事が多いのがウレタン樹脂です。
木の表面をしっかりと膜で覆い、木を守ります。
ツヤ有りタイプはツルツルした仕上がりに、ツヤ消タイプはサラッと自然な仕上がりになります。

【天然樹脂】ミツロウ・カルナバロウ・漆などです。
天然樹脂でもミツロウやカルナバロウなどを植物油と混ぜた半固形の物は、木に浸透しつつ表面をコーティングして、木の風合いや木目を活かしたナチュラルな仕上がりです。

 

③溶剤

塗料は液体の状態で刷毛などで塗っていきますので、丁度良い粘度に調整する為と樹脂を溶かす為に溶剤が使われます。
樹脂を溶かす溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレングリコールなどの有機溶剤が使われているものが溶剤系塗料です。
水性塗料の場合は水が溶剤となります。本来は水に溶けない樹脂をエマルション化して細かく水の中に分散させて、安定させた液体に仕上げています。エマルション化というと難しい感じもしますが、「乳化している状態」というと言葉としては耳慣れているかと思います。

溶剤にトルエン・キシレンなど有機溶剤が使われているとツンとした匂いがあり、取り扱いや保管についても注意事項が多くあります。
また中毒を起こす可能性もありますので、十分な換気を行い、長時間の塗装の際は防毒マスクなど保護具が必要になります。
成分としては、引火性有りの危険物にあたる為、火気の無い場所で塗装作業・保管をしてください。

 

④添加剤

添加剤は総称で、塗料に機能を追加するために加えられ、用途に応じてたくさんの種類があります。
分かりやすい所だと、ツヤをコントロールするツヤ消剤、カビを防ぐ防カビ剤などが添加剤にあたります。
また、塗装時の使い易さを高めるという点だと、色が均一に混ざる様にし、塗布時の色ムラを防ぐ色別れ防止剤、塗料の柔軟性や付着力を高める可塑剤などもあり、色々な添加剤のおかげで使いやすい塗料が出来上がります。
最近では、塗料自体に抗菌効果を加えたものもあり、それも添加剤の一種です。

 

これらの4つを混ぜ合わせ塗料は製造されます。
混ぜる時には満遍なく均一に混ぜる事が大変重要です。羽が付いた棒で回転させて混ぜるのが一般的ですが、成分によっては、混ざりにくくダマになる事もあります。
そのような場合は「ビーズミル分散」という方法を用います。
塗料の原料と一緒に細かいビーズを入れて混ぜる事で粉砕をし、均一に混ぜる事が出来るのです。
詳しくは、下記URLのガードラック社員ブログの「混ぜる!」も併せて参照くださいね。
https://guardlac.jp/12407

上記4つの成分は塗った塗料が乾燥して塗装面として仕上がる過程で「蒸発してしまうもの」と「塗膜を形成する成分」に分かれます。
蒸発してしまうものが③の溶剤で、①着色剤②樹脂④添加剤は「塗膜を形成する成分」として木の表面に残る事で塗装面として完成します。

塗料の成分構成が分かった所で、塗装でどのような機能を木材に加えるのが良いのか、蒸発してしまう溶剤についてはDIYでは水と有機溶剤どちらが使い易いのかを後編で具体的な事例を挙げつつ、塗料選びのコツをお伝えしたいと思います!
ぜひ、後編もチェックしてくださいね。